お椀制作スタート
年末の「うるし・うつわ・おわん展」と個展のためにお椀の制作をスタートさせました。
この作品は公募展出品作というわけではないので、随時進行状況をアップしてゆこうとおもいます。
僕はあまりお椀をつくりません。
漆のお椀ってすごく使っていて使い心地が良いのでオススメはしたいんです。
それにお椀の注文はよくいただきます。
ただ、ものすごく長い時間待ってもらっています。
今までのところ。。。。
約6年待ちで納品が普通になってしまっていました。
これは、別に人気がありすぎて追いつかないとか、後回しにしてるとかではなくて、単純に時間がかかっていたんです。
なぜかと言うと
まず、図面を描いて挽き物師さんに木地を挽いてもらいます。
その時図面で描いた平面のイメージと挽きあがってきた立体のイメージにずれが生まれる事がよくあります。
これは単に僕の経験不足ですが、美しく使いやすい形に仕上がるまで何度も試作を重ねます。
お椀は実際に使う物なので、ただ美しいだけではだめで、使いやすさと美しさをもたせたいのです。
「用の美」という言葉がありますが、漆にとってお椀は「用の美」を実感してもらえるもっとも重要なアイテムだと思っています。
なので、手にしっくりくる形、口当たり、ちょうどいい重さなど細かな修正点は立体になってからでないと調整できないんです。
下地方法もこだわりたいので、お椀の塗が得意な産地に塗を外注する事ができません。
僕なりに絶対この方法で塗りたいという理想があるので、それに対応してくれる塗師屋さんを探しましたが
今のところ見つからないので、自分の工房で塗ります。
どんな塗をしているかと言うと、展覧会出品作品と全く同じ方法をとっています。
布着せ
蒔き地
さび付け
下塗り
中塗り
上塗り
蒔絵
工程は今まで作ってきた展覧会作品と全く変らない工程なんです。
なぜそこまでするかと言うと、それは日本文化が育んだ最高の器を毎日使ってほしいからです。
よくいわれる「漆器はもろい」とか「漆は繊細すぎて使えない」といわれたくないですからね。
朝食にご夫婦でお揃いの漆器を使っていただいて「やっぱり漆はいいね」と言ってもらいたいので頑張りますよ。
全12客「おわん展」と個展に別けて2客セットで出品してゆこうと思います。
今は椀のふちに絹を貼ったところです。これから見込み(椀の底)と高台裏に麻布を貼って下地へと進んでゆきます。
(現段階でも、とても細かく目の通ったケヤキ木地は美しい。)
今後の進行状況もアップしてゆきます!