京漆器はハレの器
しばらく出張で京都に行ってました。
せっかく京都に来たので、漆器(お椀)を見てみようと思って何件か骨董を扱う店をまわりました。
さて、京漆器ってどんな特徴があるのでしょうか。
作家目線でいくつか、特徴をご案内します。
特徴1
薄造り
京漆器の特徴はまずその洗練された造形です。
造形の要とも言える口の作りがとても繊細で華奢ですね。
輪島塗の口作りに比べると、印象が繊細です。
下地のほどこし方の違いによる、この印象ですが、何を目指して京漆器と輪島塗が進化したのかがうかがえます。
輪島塗の日常の壊れにくいお椀に対して
京漆器は「ハレの器」を目指していたのではないかと感じます。
特徴2
季節感
京漆器の加飾のメインは蒔絵です。
簡単な蒔絵から、手の込んだものまで、様々ですが
煌びやかな印象をより引き立てています。
蒔絵の題材は草花が多くて、それも季節を限定するものが多い。
例えば
ワラビ
桔梗
萩などなど
作り手からすると
ここまで季節を限定すると、使えるシーズンが限られてくるのでもう少し
通年使えるデザインを考えてしまうんです。
たとえば。
菊
花模様(オリジナルデザイン)
椿(シーズンが長くわりと長く使える)など
僕の感覚だと、毎日1年を通して使える漆器(お椀)を意識してしまって
京漆器はかなり、使用者を限定するハイレベルな漆器という印象です。
つまり、年間を通して漆器を使おうとなれば、4種類(春夏秋冬用)必要になります。
冬でもワラビのお椀を使っても良いんですが、料理の季節感にあわせて食器を選んでみたいものです。
特徴3
数もの
最近ではお椀のセットの単位が少なくなっています。
デパートで購入する場合も単体か、夫婦椀
そろい10組とかは珍しいですよね。
京漆器は少し古いもの(昭和、大正期)でもしっかり数そろう事が多いです。
そして状態が良い。
このように京漆器にはいくつかの特徴がありました。
強く感じるのは、器に人間があわせなければならないという事です。
薄作りなので、洗い物のときは気を使います。
季節も細かく別けて使わなければなりません。
このような発達をしたのはやはり京都の土地柄の影響で
季節感を繊細に感じ取り、そのための器を必要としたからでしょう。
文化とか物を大切にしようとすれば
自分が物にあわせる必要があります。
今回の場合、お椀に自分をあわせ無ければなりません。
便利な現代において、どう考えても合理的ではありませんが、
季節とともに美しいお椀で食事を楽しむ美学が感じられます。
絶好の季節になってきた秋の京都でお気に入りの漆器を探してみるのも良い物です。
明日はオススメの骨董店をご紹介します。