神の筆
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先日、驚くべきプレゼントをいただいた。
それは蒔絵筆なのですが、
まさに神の筆といっても過言ではないでしょう。
豆知識として、蒔絵筆の解説をしておきます。
蒔絵筆とは
その名の通り蒔絵に使われる漆専用の筆です。
専門の職人さんがいて、蒔絵に最適な材料で作られる細い筆。
穂先の材料は猫の毛が使われており
粘り気の強い絵漆でもゆっくりとしなやかに
そして細い線が描けるのが特徴です。
さらに蒔絵筆のもう一つの特徴が
筆の穂先の長さが変えられるところです。
「どゆこと?」
と思いますよね。
穂先が二重の小さな軸に収まっていて
細い糸が一本出ています。
この糸を引っ張ることで長さが調節できて
描きたいものに合わせて自由にカスタムできるという優れた機能を持っています。
面白いでしょ!!
さて、この蒔絵筆
伝統的に猫の毛が使われているのですが、
それが最上級ではないのです。
世界で最も細い線が描けるといっても過言ではない蒔絵筆の最上級は
ネズミの毛でできています。
ネズミおよそ数十匹の最良の毛だけを使った幻の筆
それが、蒔絵師憧れの
本根朱筆(ほんねじふで)
http://urushiya.ocnk.net/product/245
なんと3万円オーバーの筆です。
消耗品の道具としてはかなり高額ですよね。
この筆を先日ある人からいただきました。
しかも、元の持ち主は、、、、
近代蒔絵の神、松田権六先生です。
使用感が無いので松田先生が実際使っていたものではありません。
しかし、松田先生の手にあったということで少なくとも30年以上前の貴重な筆。
まさに神の筆です。
ところで「この筆、使うの?」という声が聞こえてきそうです。
使いますよ、僕は。
この神の筆で蒔絵上達し、使いきって
神棚にお供えしようと思います。
きっと松田先生も「そうしなさい」といってくれるでしょう。
形見分けのような形で僕の手元にやってきた元の所有者も「使えるものなら、使ってみろ」というでしょう。
誕生日の少し前に僕の元に来たこの筆は、
蒔絵の神様からの誕生日プレゼントだったのでしょうか。