個性の作り方
個性というのは意識して作るものではなく、じわりと滲み出てくるものだから
「個性!個性!」と声だかに言うのは好きではありません。
美術では「個性」と言うか「違い」が少なからず武器になる部分もあるので書いてみます。
先に書いたように僕が「個性」と声だかに言うのが嫌いなのは
意識的に個性的であろうとする人が苦手だからと言うのもあります。
自然体で人と違う部分があるのは当然なので、
それならいいんだけど、作品や振る舞いや服装に狙って無理している感じが
見えてしまうと、距離を置きたくなります。
では自然体な個性とは何で、どう生み出すのでしょうか。
ここからは美術に関して僕が考えてきた個性の作り方について書きます。
◇基本を大切にする◇
実は違いを産むために大切なものは基本だったりします。
美術を学ぶ初期段階でおちいりやすいのは
「人と違うものを作ろう」とスタートしてしまうこと。
もしそのような焦りがあるとしたら、
大丈夫、同じ容姿や声の人がいないように、
盗作を考えていない限り、誰かと同じものは作れません。
たとえ誰かに憧れて、その要素を自分のものにしようとしても、
なんども繰り返し工夫しているうちに
自然と自分らしさが生まれます。
つまり最初のうちは基本をダイレクトに表現していても
必ず変わって自分らしくなってしまいます。
これを例えるならば、
野球のスイングに似ているように思います。
どんなに個性的な選手も、最初野球を習い始めた時には
基本的なバッティングフォームを習います。
でも、何万回、何十万回と素振りをしたり実践を重ねる中で、
自分の形が出来上がってきます。
たとえばイチロー選手のような個性的なフォームも
最初からあったわけではなく、自分の身体的特徴や
打者のスタイルを確立する中で完成したものです。
◇好きを言語化してみる◇
僕はよく、好きなことをなぜ好きなのか言語化してみます。
たとえば、
恩師の作品が好なポイントを挙げてみると
1、蒔絵の金と黒の対比が好き
2、ポイントで見える螺鈿が好き
3、造形的な緊張感が好き
このように、言語化してみると
自分の作品に応用した時に、
必ずしもかぶらない表現で好きを叶える方法がたくさんあることに気がつきます。
参照元 日本工芸会HP
上の作品は恩師の室瀬和美先生の作品で、僕が影響を受けた作品の1つです。
この作品の好きポイントを言語化して作ったのが「光の道」と言う作品です。
1、蒔絵の金と黒の対比が好き
2、ポイントで見える螺鈿が好き
3、造形的な緊張感が好き
好きなポイントを自分なりの解釈で表現しても同じ作品にはならないし、
僕らしさも出ているように思います。
他にもたくさんの好きを言語化してゆくと、
ぼんやりしていた自分の個性が、形作られてゆきます。
僕はこのようなことを心がけて日々制作しています。
何よりも、毎日の積み重ねが自分の作品を生かしてゆくように感じるので、
小さな基本と
好きを言葉に置き換える習慣オススメします。