漆のおすすめ本 「日本伝統工芸展」図録 入手難易度★☆☆☆☆〜★★★★★
僕が一番長い時間見た図録と言えば「日本伝統工芸展」の図録です。
一冊ごとでは、そんなに長い時間見ていないと思いますが、
なにぶん数が多いので合計閲覧時間は長いと思います。
僕がもっているのは第16回日本伝統工芸展から第62回までです。
一冊だけ第2回の図録はもっていますが、その後は16回からです。
図録の形式も数回の変換があります。
第2回は紐で綴じてあります。時代を感じるなかなか味わい深い作りで
資料的な価値すら感じます。
表紙の字はなんて書いてあるのか読めません。
(ちなみにまだ一般公募展形式ではないです。)
16回以降は一般的な図録の形式となります
出品点数も多くはなく現在よりはずいぶんと薄い図録です。
表紙の写真は各部門の作品等が登場したり、着物の柄(作家制作ではない)が表紙になったりしています。
25回以降は少し図録の厚みが出てきました。
出品数が増加してきたのがその理由だと思います。
これ以降表紙の写真が着物柄に定着します。
32回展の時に大きな事件が起きます!
何と伝統工芸展図録史上初カラー写真が登場します!!
さらに!
図録のサイズが広くなります!
これで現行のサイズとなります。
さらに、さらに!
背表紙もカラーになります!!
これ以降は表紙がマット仕上になったり艶仕上になったり
マイナーチェンジを繰り返しますがおおかた定型ができた事になります。
カラーになった事により、図版を見る楽しみが一気に膨らみますね。
32回以前はどうしても資料的な図録になってしまって、面白みに欠けていました。
買いそろえるならば32回以降がおすすめです。
さて、買い集める方法ですが
直近5年間分くらいですと、工芸会にも在庫があるようで
展覧会会場にバックナンバーとして置いてあります。
それ以前ですと、古本屋さんで探す必要があります。
古くなればそれだけ入手難易度が上がります。
これだけの数を集めるにはそれなりの理由があります。
やはり伝統工芸展の図録は魅力的なのです。
楽しみ方をいくつかご紹介します。
楽しみ方その1
偉大な先人の作品を臨場感を持ってみる事ができる
歴史的名品として美術館に収まっている工芸の巨人たちが
新作として発表した、その年の図録を見る事でその作品の時代感が伝わります。
楽しみ方その2
大先生の若い時の作品が見れる
どんな大先生でも始めの一歩はあるもので、そんな若々しい作品を見るのはとても楽しいものです。
作風の変換や、ターニングポイントを追う事ができます。
落選した回や苦悩も図録から感じる事ができます。
楽しみ方その3
興味のなかった分野も好きになる。
これは伝統工芸展図録の最大の楽しみかもしれません。
一番好きな分野を中心に見ますが、他分野を見てゆくとどんどん好きになってゆきます。
僕は漆から入りましたが、最近では陶芸や木工、金工の過去作からヒントをもらう事もあります。
集め始めるとキリがない図録ですが、
今年の伝統工芸展図録から集めてみてはいかがでしょうか。