松田権六の代表的な図録です。
ハードカバーの豪華な図録ですが
よく出回っているので入手難易度は低めの星二つです。
価格帯も１万円前後で状態の良いものが手に入ります。

この図録は大変勉強になる図録です。
発行年に制作された文化庁の技術記録映画と同時に
撮影された、制作工程写真が多数紹介されています。
そのとき制作されているのは「蒔絵槙に四十雀模様二段卓」
松田権六の作品の中でも、ひときわ華やかな代表作の1つです。
解説も丁寧で、専門家にもとても役に立つ図録です。
具体的に言うと、制作に使用されている金粉のサイズ（号数という）まで
解説してくれています。

写真家はその後工芸専門の写真家になる
大堀一彦氏です。
この松田権六との出会いが大堀氏を工芸専門の写真家の大家へ導くきっかけだったそうです。
情熱的に制作工程を追って撮影されています。
図録の制作協力に
若き日の　増村紀一郎氏、室瀬和美氏が参加しています。

一点不満があるとすれば
図版がページにプリントされているのではなく、
ページごとにプリントされた写真が貼付けてあるタイプの図録です。
ぺらぺらするのですこしめくりにくいです。
それ以外は最高の図録です。
漆芸を専攻する学生さんはもちろん
蒔絵が好きな方なら、絶対満足できる図録だと思います。

古本のみの入手となりますが、すばらしい図録なので
ネットで購入もありだと思います。