なんでも鑑定団はおもしろい。が、しかし

鳥取の帰省中仕事もできないので
たまにテレビを見ていました。
正月に「開運!なんでも鑑定団」の2時間スペシャルを久しぶりに見ました。
(スペシャルと言っても鳥取はリアルタイムで放送されないので
再放送を2本立て続けで流されるだけでした。)
久しぶりに見ても変わらない面白さがありました。

見ていて思うのが、驚きに満ちていて面白い!
海で拾ってきた壷がものすごく高かったり
祖父が大枚をはたいて購入するも、全くの偽物で涙をのむ結末。
そんなドラマがたくさん繰り広げられます。

やはり、人間は美術とお金の関係が大好きなんだなと思うのです。

さて、面白い番組ではあるし
骨董ファンを増やしている要因の1つである事は間違いありませんが
疑問と不満もあります。

まず、当然ながら新しい作家ものは出てきません。
骨董にはドラマがあって、当時無価値なものが現代になって
人気が出て、とてつもなく高額になると興奮します。
でも、そういう事は本当に稀で、多くの美術品は
その当時から評価が高くて、現代においてもその価値は変わらないものがほとんどです。
残念ながらそこにはドラマ性も驚きもないかもしれません。

難しい事かもしれないですが、
骨董好きの人にも、現代の美術に目を向けてほしいと思うのです。
歴史的ドラマはありませんが、現代を生きている人間のドラマがあります。
価値は、その作家の活動内容によりますが、上がる人はしっかり上がるので
より目利きが活かせるかもしれません。

あとひとつ
作品をたたかないでほしい!
番組中に鑑定士が磁器をコツコツと指の甲で叩くシーンがでてきます。
磁器に見えないヒビが入っていると、たたいた時に割れている磁器特有の音がします。
ビビるというのか、クリアなキーンという音がしなくなります。
視聴者がこれをしないでほしいと思います。
漆器をたたいても良い事はありません。
(最近は全く無くなりましたが、以前はたたかれたり、はじかれたりしました。)

ちなみに両手で優しく持ち上げて作品を見ていただけると
とても安心できます。
基本的には僕の作品は展覧会場で持っていただいても大丈夫なので
ぜひ手に取って、質感や重み、裏側の様子等を見ていただければと思います。

話がそれましたが
なんでも鑑定団は作り手が見ていても面白い番組だと思います。
漆の作品が出てくると、細かな内容が省かれていたり
少し違った解説がされたりして「おいおい、もっとしっかり説明してくれよ」とツッコンでみたり。
家族でわーわー言いながら見ていると楽しいです。

いろいろ思う事はありますが、美術とお金は切っても切れない関係にあって
それはとても興味深いことであると思います。

それでもやっぱり現代作家と
ぜひ漆にも興味を持ってくれる人が増えたら嬉しいです。