会場当番の時よくいただく質問
先日は第33回日本伝統漆芸展の会場当番でした。
会場当番をしていると、よくいただく質問があります。
よくいただく質問その1
乾漆って何?
乾漆(かんしつ)以前のブログにも書きましたが(過去記事はこちら)
乾漆とは、漆器のボディーを制作するための技法です。
石膏の型に麻布を漆で何度も貼り重ねてゆきます。
布を沿わせて作るので、柔らかな形が可能です。
仏像等にも作例が見られる技法で鑑真和上像が有名です。
作品タイトルの先頭に「乾漆朱塗食籠」や「乾漆蒔絵箱」
など記してある作品は乾漆でボディーが作られております。
展覧会場でチェックしてみたください。
よくいただく質問その2
藍胎って何?
藍胎(らんたい)これも以前のブログに書いたのでご参照を(過去記事はこちら)
藍胎とは竹の繊維で作られた漆器ボディーをいいます。
薄いテープ状の竹ヒゴをたくさん作っておいて
それを編み上げて漆器の芯にします。
竹は物差しに使われるくらい安定した繊維を持っています。
ですので、とても安定した漆器のボディーとなるのです。
作品タイトルに「藍胎蒟醤箱」と書かれていたら、竹製です。
作品によっては竹編みの意匠を活かしてあるものもあります、下地ですっかり見えなくなっているものもあります。
箱の内側に竹の網代が見える作品も多いので機会がございましたら、作品の中もご覧ください。
よくいただく質問その3
蒟醤ってなに?
「蒟醤」なんて難しい字でしょうか。。
だいたい読めません。
これで「きんま」と読みます。
香川県を中心に盛んにおこなわれている
漆芸の伝統技法です。
蒟醤は、漆面を刃物で彫って
そこに色漆を埋めて、研ぎだす技法です。
近年では多様な色漆を作る事ができるようになりましたので
とてもカラフルな表現ができる技法の1つです。
よくいただく質問その4
蒟醤と沈金の違いってなに?
技法の事をご存知の方によくいただく質問です。
蒟醤、沈金とも漆器の面を刃物で掘り下げますが
蒟醤は色漆を沈金は金粉または金箔を埋め込みます。
細かい金粉と金箔は厚みが無いので
沈金の場合は彫った面が凹んでいます。
沈金技法は輪島で盛んにおこなわれている技法です。
以上が会場当番をしているときによくいただく質問です。
いろいろと説明しましたが、百聞は一見にしかずです。
ぜひ第33回日本伝統漆芸展まで足をお運びください。
以下池袋西武本展のホームページより
第33回 日本伝統漆芸展
■会期:2016年1月13日(水)〜26日(火)
■会場:6階(中央B7)=アート・ギャラリー、6階(中央B8)=西武アート・フォーラム
■主催:公益社団法人 日本工芸会
■後援:文化庁、東京都教育委員会、朝日新聞社、公益法人岡田茂吉美術文化財団
■お問い合わせ:アート・ギャラリー/03(5949)5348<直通電話>、西武アート・フォーラム/03(5949)5276<直通電話>
※最終日1月26日(火)は、当会場のみ午後4時にて閉場いたします。日本が世界に誇る伝統工芸としての「漆芸」は、古くから高度な技術と芸術性を維持しつつ発展してきました。本展は数多くの作家たちが、その技と高い美意識を競う本格的漆芸展として33年の歴史を積み上げてまいりました。
会場には9名の人間国宝による熟達した逸品作品をはじめ、若き漆芸作家の意欲作まで96名の作家による97点の作品を一堂に展示いたします。