好きなことをして生きてゆく。

「作家活動だけじゃ食べていけない」
「好きなことだけしているのは甘えだ」
「現実を見ろ」

こんなことをたくさん言われてきました。
でも、僕は自分の好きなことだけをしたいと思って生きてきました。
そのためにたくさんの人に迷惑をかけたと思うし、発言や生き方で友人を失ってきたとも思います。
ただ、失ったもの以上のものを手に入れても来ました。
多くの師や漆を通して知り合った友人。すばらしい所蔵家の皆様。
それぞれの出会いは、何かを失っても歩み続けることでしか得られなかったと確信しているんです。

僕は今生きていることを美しく磨き上げてゆきたいです。
何かを作る時、特に磨くときには熱が出ます。
漆の最終工程の磨き作業は指でおこないます。
慣れていないと、気づかないうちに磨き上げるその熱で指をやけどしてしまいます。
人生を磨いてゆこうとしても、何かの拍子に傷がついてしまったり、
磨き上げている途中でその熱でやけどをしたりします。
それでも、人生は研磨して磨いてゆくほうがいいでしょう。

好きなことを続けていこうとすると、否定されたりいろいろ進言されることもありますが、
誰からもあきれられるほど続けてゆくと不思議と応援してくれる人が残ってゆきました。

僕は好きなことだけして生きていくほうが、人を幸せにできるとおもうのです。