日本人で良かったと思える場所 奈良
学生時代、研修旅行で行った奈良
一番の目的は「正倉院展」でした
二十歳そこそこの自分には古典名品の良さはいまいちわからなかったけど
帰路の車の中で先生が言った言葉が印象的でした。
「正倉院展に行くと日本人で良かったと思うんだよなー。」
ぼんやりとさっき見ていた物の価値観がにじみ出る言葉だったと思います。
松田権六も著書の中で正倉院御物について何度も言及しているし
なにやらただ事ではないような気がしてきました。
よくわからないけど、松田権六も毎年欠かさず何年も通い続けてるのだから
きっとためになるはずだと思い
初めて行った21歳から今年の正倉院展まで欠かさず通っています。
正倉院展とはご存知の通り
東大寺正倉院に納められている
聖武天皇ゆかりの御物を、年に1度奈良国立博物館で
一部を紹介する展覧会です。
御物は膨大な量納められているため
1度見た物をまた見たいと思っても
何年も先になってしまいます。
ですから、毎年初見の作品が出ていて
何らかの発見があります。
毎年思うのは本気で信じて作られた物の気迫は異常であるです。
聖武天皇は日本を本気で仏教立国しようと考えて
あらゆる事業を遂行してゆきます。
その情熱が伝わって数々の物が作られてゆきます。
またシルクロードを通ってあらゆる物が集められてきます。
不安定で命がもう少しだけ儚かった時代
多くの人が本気で信じて生きて作ったものがそこにあります。
毎年その情熱を胸に帰路につきますが、
なかなか命を燃やし尽くすのが難しい。
でも日本人は過去そうやって情熱をつないできたんだよな。
それが伝統ならば、やっぱり日本人はすごいなとおもいます。
情熱の充電ができた、今年も奈良に行けてよかった。