好きを仕事にする壁 その1
好きな事を仕事にできる人生とはどんなイメージでしょうか。
僕は漆が好きで、それを仕事にしているので
これまでの人生は満足できる部分が大きいです。
そして、これからの人生も期待しています。
漆芸作家という聞いた事も無いような職業を選んでみて思うのは、
一般に思われているほど、好きを仕事にするのは難しくないのではないかという感想です。
これは安易に「転職したほうが良いよ」みたいな煽りではなく
合わない仕事を続けるより、好きな事を誰かと共有して
それが収入になったら最高じゃないですか?
という意見です。
ただし、アマチュアからプロへ移行する壁みたいな物もあります。
美術の場合、最初はほとんど売れないから
試行錯誤します。
「何をつくったら売れるんだろう?」と言う人がよくいます。
変な話この何が売れるのか?という考え方がとても危険で
売れる物を考え始めたら売れません。
なぜかと言うと、世の中には売れている物がたくさんありますが
その売れている物を追って、何かをつくるというのは
後追いになるからです。
後追いして、勝算があるならいいのですが、
ほとんどの場合、数もつくれなくて品質も劣る物を作り出してしまいます。
では、何をすれば良いかと言うと
どうせ売れないなら売れない物をつくる事です。
売れないと言う現状は変らないなら、割り切って好きな物をつくればいいんです。
その結果、誰かにがっちりハマる何かが完成して、売れる事があります。
つまり
「何をつくったら売れるのか?」という問いには
「見た事も無い誰かに何をつくったら売れるのか?」という意味があり、
見た事も無い誰かなんて、いないので結果的に誰にも届かないのです。
人が何かを欲しいと思うのは、そのものがある事に喜びを感じるからです。
少なくとも誰か1人を喜ばせる必要があります。
物をつくる時、喜ばせるべき最初の1人は自分です。
自分が喜ばない物や事で誰かを喜ばせる事はできませんからね。
プロとは間違いなくそのあたりを理解したうえで
新しいアプローチを繰り出し続けられる人です。
その2に続きます。