物を通して事を作る
自分の専門分野って、どうしても視野が狭くなってしまいがちです。
それは仕方なくて、どっぷりと浸かっていると
何も知らないという前提に立つことができなくなります。
例えば、僕の専門「蒔絵」ですが
「マキエ」という技法にどのような漢字が当てはめられているか
知っている人の方少ないでしょう。
同様に「うるし」だって、なんとなくは知っているけど
正確にそれが何なのか言える人は多くはないと思います。
この作り手目線と消費者目線には時にギャップがあって
そのギャップが大きければ大きいほど、
物は売れなくなってしまいますよね。
気をつけなければならないのは
自分の分野に何かしらのブランド力を感じてしまうことだと思います。
漆は素晴らしい素材ですが
一般的に漆だから高級であるとか
価値があるという一種のブランド力はなくなっているように思えます。
また、これからは日本製神話も崩壊してゆくように思えます。
世界中がインターネットでつながって、口コミが重要視され
よくない物は一瞬で淘汰される時代になってきています。
つまり、海外製品より日本製が質が高いというイメージは
無くなってゆくでしょう。(国内製品が悪いのではなく、海外製品に悪いものがなくなった)
このように物(素材)場所(地域)の優位性、ブランド力がなくなった時
僕たちは何を作れば良いのでしょうか。
僕が考えているのは、
人は物を求めているのではく
その先にある感情を求めている
という事です。
例えば、車を買う時
実は車本体が欲しいのではなくて
自由に行動できる移動パッケージと、それでえられる感情を人間は求めています。
ホンダのステップワゴンが新発売された時、僕の父親は
「子供と一緒にどこ行こう♪」というCMを口ずさみながら
週末いろいろなところへ連れて行ってくれました。
つまり、ステップワゴンという大きな収納スペースを持ったファミリーカーは
子供がいる父親に家族での体験を提案したのでしょう。
車の例はとてもわかりやすくて
数十万円の軽自動車から数億円のスポーツカーが製造されているのは
単なる移動だけではない、感情の動きが重要であることを表しているように思います。
では、漆には何を求めればいいのでしょうか。
天然素材の黒いお椀ではダメですよね。
このブログを読んでくれている人には、それぞれ漆に対する感情があると思います。
たぶん「使い捨てのお皿でいいよ」とか「生活に美意識などいらない」と考えている人はいないと思います。
美に対する感受性の高い人率100%なはず!
僕が蒔絵で作りたい感情は。。
それは
個展作品で語ろうを思います
作品を見てくれた人がいろいろな感情を持ってくれたら嬉しいです!