鳥取漆の特徴
昨年から始まった鳥取漆の採取
10本の漆の木からおよそ5キロの漆が採取され
生成して作品制作に使っています。
採取された漆は自分用と
いつもお世話になっている恩師に使ってもらうために
精製したものを送りました。
自分で使ってみた感想は
初漆の乾きは良好で伸びもよく
贔屓目なしで今まで使ってきた漆の中でもトップクラスの品質だという実感があります。
塗りに使う盛り漆は
実は冬場は難しくて、乾きのコントロールができませんでした。
柔らかめの漆で乾かす条件の難しい漆かと思っていましたが、
少し暖かくなってくると、とても扱いやすい漆になってきました。
一番の特徴は硬さですが
特に黒呂色という黒い漆にした時に違いが現れます。
通常黒呂色漆は粘りが強い特徴がありますが、
鳥取漆はよく言えば柔らかく刷毛目が消えやすい特徴があります
一方その特徴は流れてたまりやすいとも言えるので、塗り厚の調整が必要でもあります。
生地呂色という透明度の高い漆は
概ね一般的な日本産漆の特徴を持っていて、扱いやすい漆となりました。
関東の乾燥した冬場は難しい漆でしたが、夏に向けて使いやすくなってゆく気がします。
使用していただいた先生方のご意見も関東の冬はなかなか難しいけど
透けは良好で調整しながら使ってみるとの感想をいただきました。
輪島の先生からはキメが細かく、若い木とは思えないような塗り肌だったと
ありがたい言葉をいただけました。
この言葉を早速、父親に話すととても嬉しそう。
「今年も頑張って掻くよ」と言ってくれました。
同じ場所に植えられた漆でも
採取した年によって特徴があります。
今年はどのような漆が採れるのか楽しみです。
また、今年は精製する漆を1種類にしぼってみようと思います。
盛り漆という夏場に取れる漆から生地呂と黒呂色を精製すると精製ロスが多いので
数年に分けて何種類かの漆を作ってゆこうと思います。