清水三年坂美術館

京都にいます。(正確には今、滋賀県。琵琶湖のほとりのペンションにいます。)
京都は日本文化の中心だなーとつくづくおもいます。
寺社仏閣はもちろん、日本文化の精神が生活の中に息づいているのを感じるんですよね。
京都にはいろいろと縁があって、最初は高校時代。

全寮制の高校だったので、進路を美術系に定めた生徒は、一定期間美術予備校に通うための休みを申請することができました。
僕が通ったのは、京都の予備校でした。
今から考えると、高岡短期大学(現富山大学)が第一志望だったのに、なぜ京都の予備校に行ったかは不明です。

とにかく、僕は数ヶ月京都でくらしました。
予備校が斡旋してくれる旅館に、偶然漆のパンフレットがありました。
清水三年坂美術館」
聞いたことが無かったけど、漆の展覧会だったのでいってみました。
そこで、凄まじい蒔絵と出会いました。
今、思い返してその時何を見たのか全く覚えていませんが、たぶん杣田細工と芝山細工を見たと思います。
そのときの影響が現在の作風に生きているようで不思議ですし、富山ゆかりの杣田細工との出会いにも運命を感じます。


 

その後機会があるごとに、三年坂美術館に通いました。
ここ何年かで明治時代の工芸が国内でも見直されてきました。
美術雑誌の特集や企画展などで「超絶技巧」という文字をよく見かけるようになりました。
三年坂美術館のコレクションに先見性と情熱を感じます。


 

さて、僕はというと「超絶技巧」について高校時代から熱狂してきた経緯があったので
これまでも、挑戦してきました。
その都度跳ね返されて、間近で見るために三年坂へ事あるごとに通っています。
行くと作品に「まだまだ修行が足りないぞ!」と言われているようで、反省をするのです。
図録では感じられないものがこの三年坂美術館にはたくさんあって、何度行っても行き足りないんですよね。


 

作り手のマニアックな視点が僕を三年坂に通わせますが、そうでなくても十分楽しめます。
幕末、明治これほど精密な仕事を僕たち日本人がこなしていたことに感動できます。
さらに、それが集団で存在していたこと、工芸が産業であったという実感がもてると思います。

アートシーンは刺激的に、そして巨大に展開していますが、
僕たちの先輩が作った、手のひらの中に収まる美が三年坂美術館には詰まっています。
桜の美しい春の日に「清水三年坂美術館」はおすすめです。


 

現在は企画展「彫嵌細工の世界」厚貝螺鈿の習得を目指している現在の僕には
ぴったりの展覧会でした。
以下詳細とリンク


 

「清水三年坂美術館」

〒605-0862
京都市東山区清水寺門前産寧坂北入清水三丁目 337-1
TEL:075-532-4270 FAX:075-532-4271

開館時間
午前10:00~午後5:00(入館は午後4:30まで)

休館日
● 月・火曜日(祝日は開館) 年末年始
● 展示替期間(2月15日(月)~19日(金)、5月16日(月)~ 20日(金)、
8月15日(月)~19日(金)、11月14日(月)~18日(金))

URL
http://www.sannenzaka-museum.co.jp/index.html